ダブリンの鐘つきカビ人間 感想編

 

やっとこさ感想を書きますよ。各キャラクターの感想と全体の感想を書けたらなぁとは思ってますがどうなるやら。

 

カビ人間(エレキさん)

かわいい。ずっとかわいい。まず帽子がかわいい。いいカビ具合ですこと。帽子を取って丁寧にお辞儀する姿勢がキレイ。純粋。能登さんの市長の頭をはたいたときは「のとえれき…」と思ったけど。初めて登場したあとにハケるときの腕がふらんふらんしててかわいかった。およそエレキさんはそんな動きしなさそうな動きでかわいかった。演じてるのはエレキさんだけど。もう1回見たい。おさえちゃんに初めて声をかけるときに柱の陰に隠れるいじらしさ。でも四葉のクローバーのある場所を教えてあげる優しさ。最初に声をかけるときの遠慮がちに近付く感じ、下手すると不審者っぽくなるのに単純に慣れてなくてオドオドした感じで、怖がらせるつもりじゃなくお話がしたいだけという純真さが全面に出ててすごかった。教会に閉じ込められたときに「来て」「触って」と言われたときの困惑ぶり。全て純粋。なんの下心もない表情で。帽子を常にかぶってるから照明の具合で目元が影になってこれまた哀愁が漂って見えたりする。これだけかわいいと言いながらも、過去の悪人だった頃も想像出来てしまう演技をなさるんだからすごいもんな…。

鐘をつくときの「ただいまお昼の10分前!ただいまお昼の10分前!お昼になるまであと10分!この町はあと10分でお昼に入ります!このお昼を逃すと次のお昼までお昼は抜き!皆さん、お気をつけてーー!」(ニュアンス)のリズム感が好き。

おさえちゃんを庇って釈放されあとにジジイと話すときに階段に座って足をぷらぷらさせてるのもかわいい。年齢の概念がないから分かりにくいけど、発病前は「美少年」だったというからまだ結構若いんだろうな、と。

何度か帽子をくるくる回転させてかぶるっていうのをやってたけど、あれめちゃくちゃ難しいので階段登りながら成功させてたエレキさんすごすぎる。

「ぼくは、とっても、おさえちゃんが好きだなぁ」の言い方が、遠慮がちに、強制的に聞かせるわけではなく呟くように、でも言わずにはいられなかったから口から出てきたような、そんな切ない告白がこの世にあるのかと思った。これ本当に呟くように言うので意識してないと告白だということに気付きにくい。(個人の感覚です) 

また、撃たれたときの倒れ方がガチなのよ。バターン!!って。それでかぶってた帽子がハラリと下に落ちるのよ。その画がもう切ない。本当に、セントスティーブンスデイに鐘ついてほしかったな……。(

 

おさえ(2号さん)

長身のおさえちゃん。すらっとしてた。バレッタ似合ってた。かわいい。思ってることと反対の言葉しか喋れないのは知ってたけど、絶妙に口が悪いのがツボった。つまり発病前はお上品な物の言い方をするお嬢さんだったんだろうなぁ、と。「お前」ってカビ人間のこと呼んだりしてたけど、本当は「あなた」って言いたかったんだろうな。最後の「奇跡なんてクソくらえ!ポーグマホーン」なんてさ、何故だか言葉通りに私は受け取ってしまったんだけど違うよね。「奇跡よ起こって!」って意味だものね。奇跡は起こるんだよね、おさえちゃんのおかげで。おさえちゃん……。

 

市長(能登さん)

悪い。全ての元凶。でも何故か憎みきれないキャラクターなのが不思議。神父との黄金バッテリー(何故かライト&レフト)。能登さんの金髪(カツラ)姿を見れる日が来るとは思わなかった。ビジュアルが爆裂にイケすぎてた。侍従長(遠藤さん)に「普通なら乗り物から降りるはずでは?」って言われたあとの超絶早口拒否は面白すぎたなぁ。さすがの能登さんといったところ。そのちょっと前に「王の謁見(?)よりも大事な用があるのか!」と詰められたときの「…はい~」の言い方!!!嫌みったらしい言い方よ…。嫌みったらしくもあり、どこか色気さえも感じたよ。なんだこの人…すごいな…。そしてだいたい悪い声で神父と笑って去っていきがち。なんだその濁点がついた声。本当に能登さんから発されてるのか?と思うほど。

それと対照的なのが現代パートの市長(老人)。大きなブロンドっぽい色のガウンを羽織って座ってる。それだけなのにものすごい貫禄と、この世の人ではない感があった。架空の人物って感じ。このときの為にあのヒゲは必要だったんだなぁと思った。結局、病気が治って死ぬことはなくなったけど、今度は逆に死ねなくなったということなのよね。(これはのとえれきご本人とフォロワーさんのおかげで理解出来ました)うーん。「自分はセントスティーブンスデイの正午10分前の鐘を聞くと死んでしまうからその日は鐘をつかないでほしい」ってちゃんとカビ人間に伝えればカビ人間も承諾したと思うよ。高すぎたプライドが市長を死ねなくしちゃったんだよ。きっとね。だからって他人を巻き込むな。ひとりで静かに生きてて。(辛辣)

 

真奈美と聡(もがさんと櫻井さん)

いいなぁこのコンビ。安定のyhs感。もがさんのボケ(の役)ってあんまり見たことない気がする。そんなに色々見てるわけではないから分からんけど。櫻井さんの小物感もとても良い。真奈美と戦士に守られてる図が最高だった。あともちろんエルヴィス櫻井。舐められながら歌う表現上手すぎますて。

ジジイ(A氏次さん、B伊達さん)

Aの氏次さんジジイは杖1本でスローペース。Bの伊達さんジジイは杖2本でテンポも早め。侍従長に挨拶するときにほぼ五体投地になった伊達さんジジイ面白すぎた。それに倣う侍従長もしかり。若者言葉習わされるときの「えぇ…」ともなんとも言えない戸惑いの声がすごい好き。どちらのジジイも。氏次さんジジイの方がなんとなく優しさ成分多めな感じがした(個人の感覚)。

戦士(A井上さん、B石川さん)

どことなく漂うおバカの雰囲気。井上さん戦士はおさえちゃんよりも背が高くて絵になってた。石川さん戦士はおさえちゃんを抱き寄せたあとに思いっきり背中トントンしてた気がする。トントンって音聞こえたもん。石川さんが殺陣指南だと聞いてたのでそこはさすがでした。井上さんももちろんすごかった。

侍従長(遠藤さん)

最初めっちゃカッコ良かったね!!すごい真面目な規律正しき侍従長…。植木鉢直撃してから昆虫博士になっちゃった…。というかその変わり様がすごかった。2面性というかなんというか。途中場転シーンでは素の遠藤さんで出てきてたし、遠藤さんファンにはたまらなかったのでは。

神父(キタラさん)

圧倒的イイ声。すごく聞きやすい。からこそミサの読み聞かせも耳に心地よいから献金しそうになる~。市長と企んで楽しんでる感じがまさに小悪党。神に仕える職業に向いてなさすぎる。その市長とのコンビ最高だった。ザン!ザザザザンッ!

市民たち

役者さんたちのお名前は表記しなかったけど、天使くんは一人称が「おいら」だったから男の子だろうなぁってすぐ分かった。けどすごいかわいらしいよね。歌声も素敵。とまり木さん絶対いい人っていう見た目なのに天使くんと協力してカビ人間を教会に閉じ込めるのよ。いらんギャップ…笑。目玉さんの訛り。なんで九州訛りなのか一生気になってる。自分の手にびっくりしてるのいつも面白い。杜花さんはツノ生えてる市民の他に賢者もされててメイク変えるのめちゃくちゃ大変だなぁと思ってた。賢者の話をすると、知恵比べのあとの急な性格占いみたいなことやられて戸惑う様子がめちゃくちゃ良かった。強烈な見た目してるのにめっちゃ焦ってるギャップ。耳の大きかった市民の寺元さんは森の司会者でもあって、あの階段の一番上で足場も階段の幅しかないであろうところでジャンプしたりしててすごかった。絶対怖いもんな…。

王(大王)

王様だーーっ!て登場したとき思ったのに喋ったらめっちゃ普通のおじさんの喋り方で笑ろた。王なのに偉そうに出来ない奇病だからね。そして王の挨拶がいつも違う話で話題の豊富さに驚く。そしてもれなく面白い。王以外にも天使(ガチ)の格好で出たり中村さんで出たりしてて大王が出てくるシーン全部好きだった。同じ大阪にいらっしゃるのかと思うとソワソワするね(しない)。

 

各キャラクター(役者さん)で語ってもこの長文になってしまいました。総じて切ないお話だったなぁと個人的には思います。笑えるシーンもたくさんあるんだけど、それの反動もあるのか最後の展開がより切なくて悲しくて。

今回は体調不良により本来おさえを演じるはずだった田中温子さんが降板になってしまったし、Wキャストで真奈美役だった2号さんが代役でおさえになったことで、このおふたりの本来の役を見てみたいなぁと思ってます。いつか再演されることを切に願います。田中さんはこの公演の発起人でもいらっしゃいますし。是非とも。

それももちろんあるし、私はまたこのダブリンに生きる人々に会いたいのです。

本当に素敵な素晴らしい作品に出会えたこと、幸せに思います。観劇出来て心底良かった。

 

今回はこれにて。