「4A.M.」と「眠くなっちゃった」

 

どうもどうも。久しぶりの更新ではないので冒頭の挨拶に戸惑いました。

というわけで、タイトルの通り、ふたつの舞台の感想をザッと綴ります。

「4A.M.」は9月末に札幌で、「眠くなっちゃった」はつい先日兵庫で観劇しました。※眠くなっちゃったに関しては観劇予定の人はネタバレ注意。

このふたつの共通点は、原作がケラさん。

・4A.M.

南と北に別れた国の北側(比較的安全?)の、とある家での数日間の出来事。どこか遠くの国という印象で、わりと現実的でもある。ひとつファンタジー要素があるとすると「赤い玉」。動物や人が亡くなったりするとその赤い玉がだんだんと大きくなる。終盤、アイザック(エレキさん)がサニー(美乃さん)が自殺しようとするのを止めようとして撃たれてしまい、瀕死になったときにこの謎の赤い玉が役に立つ。ソファに寝そべるアイザックをよそに、赤い玉に向かってお経のようなものを唱えるサニー。あとの3人はその回りを謎の踊りをしながら回る。(この踊りが日替わりで美乃さん発のアドリブっていうのが面白い)そうすると、アイザックが生き返るっていう。比較的現実味のあるお話だけに、チラチラと得体の知れないその赤い玉はなんなんだろうかと序盤は思ってたけど、この赤い玉のおかげでひとりの命が助かるというのはなんなんだ、とやはり不思議な気持ちになる。タイトルの「4A.M.」、舞台の時間軸がだいたい夜中で、話し合いをするには夜中はネガティブなことばかり思ってしまうから夜が明けてからにしよう、なんて話が出てくるんだけど、「4A.M.」この時間は果たして夜中なのか明け方なのか、その境目みたいな時間でこのお話は終わるので、その後の5人はどうなっていくのかなぁと考えたりしましたね。ちなみに、お話は結構深刻なんだけど、小さな笑いが散りばめられているので、私の感覚ではあまり重たく感じなかった。本当にただただ面白かったなぁーという感想。

 

・眠くなっちゃった

こちらもお話は深刻。遠い未来のどこかの国のお話で、人々は管理局から監視されながら生活を送ってる。そして管理局で気温を上げたり下げたりされて人間以外の生き物はことごとく人間に食べられるというもの。時には人間の肉さえも…。役者さんたちのお顔も白塗りなのは、そういう環境から顔も白くなるんだろうなぁと思った次第。ノーラ(緒川たまきさん)が主人公で、夫ヨルコ(音尾さん)に「少し眠ったらどうだ?」と言われても過去のトラウマ(犯罪歴)から寝るたびに悪夢を見るので「眠りたくない」と言う。ちなみにこのヨルコさん、実はとうに亡くなっててヨルコさんのカセットを入れたロボットだったりする。そのヨルコさんロボットも回収されてしまうんだが、その少し前にリュリュ(北村有起哉さん)とノーラが出会う。このリュリュは管理局の人間なのだけど、監視対象であるノーラに徐々に惹かれてしまって遂にはノーラと一緒に逃げることになる。ではノーラはなにに追われてるかというと、管理局と大物歌手のボルトーヴォリ(篠井英介さん)。この歌手は管理局の偉い人の義理の息子で、人々の記憶を吸ってそれを歌詞にしているという人。なのでここ最近は一部の記憶を失う人や記憶丸ごと取られて亡くなってしまう人などの事件が頻発してるとのこと。

最終的にノーラとリュリュはそれぞれ捕まってしまってリュリュは処刑、ノーラは管理局からボルトーヴォリの元へ引き渡されて記憶を丸ごと取られる。ノーラの記憶を丸ごと取ってそれを吸ったボルトーヴォリはというと、ノーラの記憶がえげつなさすぎてその記憶に耐えきれずに死んでしまう。ノーラの過去はそれほど多くのトラウマを抱えていたということ。

記憶を丸ごと取られたノーラは海辺の波打ち際にひとり座っており、ぼんやりとしている。そこに、リュリュがやって来て後ろからノーラを抱きしめる。生きているときにはノーラに言わなかった言葉「愛してる」と言うも、ノーラは記憶を丸ごと取られているのでリュリュのことも知らないのである。「あなたそんなに私のことが好きなのね」なんて言うノーラ。そして、「なんだか、眠くなっちゃった」と。生きている間は悪夢を見るから寝たくないと言っていたノーラが、記憶を全て取られたことにより、なんのトラウマもなく素直に「眠くなっちゃった」と言える。これは良いことなのか。ゆっくりと眠れるというのはノーラにとっては幸せなのかもしれない。リュリュという自分を愛してくれる人の腕の中で。そのふたりの頭上から雪が降っている。これでこの舞台の幕が降りる。ラストシーンがめちゃくちゃキレイなんだ。

この舞台は本当にプロジェクションマッピング(だと思う)がすごいのよ。2階席からも楽しめる仕様になってて素晴らしかった。ゆえに映像で見るとどんな感じなのかなぁというのも気になる。

ふたつとも、同じケラさん原作だけど、出演者の数も違えば時代も国も劇場の規模も違うけど、どちらとも本当に良かった。そしてどちらとも小さな笑いが散りばめられてる。それが救いになってるのかも。あとはあっという間に終わってしまった感覚。

(4A.M.に関しては1ヶ月経ってしまったので短文になってしまいましたが。)

どちらの作品も見れて本当に良かった。

私の今年の観劇はこれでおしまいだと思うので、いい観劇納めでした。

 

今回はこれにて!