虹と雪、慟哭のカッコウ SAPPORO'72 感想編

 

タイトル通り、先ほどの「虹と雪、慟哭のカッコウ」の感想を綴っていこうと思います。

 

めちゃくちゃ重たい話なのかと思われるけど、意外とそうでもなく、患者同士のやりとりなんかはワチャワチャしててかなり癒される。笑えるところもあるけど、変なところで笑うとそれはそれで精神疾患の人たちに偏見があるように思われる可能性もあるかも。

ぎっちり管理・縛られた規則、閉鎖的な空間からの解放、婦長たちからすると侵略者、患者側からすると救世主、そんな存在が主人公の金子なのかなと思いました。

 

私個人は「ルールは絶対」という思考の持ち主なのでどちらかというと婦長たち側に最初は感情移入していました。でも話が進むにつれて、確かに患者を縛りつけてる、支配しているように見えてきて、だんだんと婦長が恐ろしくなった。

若い看護婦(李苑ちゃん)なんかはちょっとくらいいいのでは?と思ってるけどやはり婦長には逆らえないほど、あの病院内では権力を持ってるんだなと思ったし、ザ・昭和!戦後の縮図のように思えた。

だからそんな時代にそんな権力の塊に立ち向かっていた金子は本当に恐いもの知らずだな、と。まぁ刑務所から来てるわけだし、そりゃ肝も据わってますわな。そんな金子にビクビクしながらもだんだん親しくなっていく患者たち。だけどもそこはやはり「精神病院の患者」。母親に不貞行為を告げられたことにより自殺してしまうというのはかなり辛い。しかし現実にもありえそうでもあるから怖い。あのシーンは本当に悲しかったし辛かったですね…。

そして例のクライマックスシーンですよ。あれのなにがすごいって、鉄格子が倒れたときの衝撃。振動がすごかったんです。身体がすごい揺れまして、一瞬この会場の外まで揺れてるんじゃないかと心配になったほどでした。これこそ、「円盤化しても伝わらない、生でこその感覚」だと痛感しました。これは生で見ないとダメだと思いました。

 

ひとつ、気になったのが、暗転してシーンが変わるときの音です。文字にすると「ビヨヨ~~ン」って感じの、あれはもしかするとアイヌの楽器だったりしないかな?と。帰りに新千歳空港で流れてた映像を見まして、そしたら舞台のその音と似た音を奏でるアイヌ楽器の様子が映されていたんですね。あの音だけ生演奏じゃなかったのではと思いつつも分からないままで。患者の1人の故郷がアイヌだったりもしてたので関係がないこともないかもなぁと。1人で関連付けておくことにします。

あとはその生演奏をしていた山木さんを見てずっと「ああ、音尾さんに似てる…」と思ってしまっていたことをここに白状いたします。

 

最後の3公演中止は本当に悲しいし悔しいけれども、そんな過酷な状況の中でも10公演やってくださったのは感謝しかありません。おかげで私は観劇することが出来ましたしね。

またいつの日か、再演することがあるといいですね。本当にいいものを見れました。

 

おまけ。私が観劇した日、CUEの社長と森崎さんが来てました。初めて「有名人とともに舞台を見る」経験をいたしました。びっくりしたね、あれは…。

 

それでは、これにて。